スマートフォンやパソコンに使われている電池(バッテリー)は、発火(はっか)する危険があることが長年の課題でした。ところが最近、電解液(でんかいえき)に「真水(まみず)」を使った、燃えにくい革命的な蓄電池(ちくでんち)の開発が進んでいます。通信大手のソフトバンクがこの新技術の量産(りょうさん)に乗り出したと発表しました。
今の電池の「弱点」とは?
スマートフォンや電気自動車(EV)などに広く使われているのが「リチウムイオン電池」です。軽くてたくさんの電気を蓄えられる優れた電池ですが、電解液に「有機溶媒(ゆうきようばい)」という可燃性(かねんせい)の液体を使っているため、強い衝撃や高温になると発火・爆発するリスクがあります。航空機(こうくうき)内でのリチウム電池の持ち込みが制限されているのも、この危険性があるからです。
「真水型電池」のすごいところ
ソフトバンクはCOSMOS LABという企業と協力して、電解液に「真水」を使う「水系蓄電池(すいけいちくでんち)」の開発を進めています。水は燃えないため、発火リスクがほぼゼロになります。さらに、この電池はレアメタル(希少な金属)を使わずに製造できるため、資源の確保もしやすいという利点があります。ソフトバンクは大阪府堺市(さかいし)にある旧シャープの工場跡地に「GXファクトリー」を建設し、2027年度をめどに量産を始める計画です。
なぜ今、大きな蓄電池が必要なの?
AI(人工知能)の急速な普及(ふきゅう)により、データセンターと呼ばれる大型のコンピューター施設が世界中で増えています。これらは膨大な電力を消費するため、電気を安定的に蓄えておく大容量の蓄電池が強く求められています。また、太陽光や風力など再生可能エネルギー(さいせいかのうエネルギー)は天候によって発電量が変わるため、余った電気を蓄えておく技術も重要です。ソフトバンクは2028年度までにギガワット時(GWh)規模の量産を目指しています。
なぜ私たちに関係があるの?
安全で大容量の蓄電池が普及すれば、電気自動車の航続距離(こうぞくきょり)が伸びたり、自然災害のときに家庭で長時間電気を使えたりするようになります。また、国産の電池製造は日本の産業を強化し、雇用(こよう)を生み出す効果も期待されています。
もっと知りたい人へ
「脱炭素(だつたんそ)」とは、二酸化炭素(CO₂)の排出をゼロに近づけていく取り組みのことです。化石燃料(かせきねんりょう)を使わない再生可能エネルギーや蓄電技術の進化は、地球温暖化対策の鍵(かぎ)とされています。「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」という言葉は、環境にやさしい社会への転換を意味し、近年の入試でも頻出(ひんしゅつ)のキーワードです。
今日の一問クイズ
問題:ソフトバンクが開発中の新しい蓄電池では、電解液(でんかいえき)に何を使っていますか? ▶ 答えを見る
答え:真水(水)
解説:この「水系蓄電池」は、電解液に真水を使うため発火しにくく、安全性がとても高いのが特徴です。現在主流のリチウムイオン電池は可燃性の液体を使っているため発火リスクがありますが、水は燃えないため、この問題を大きく解決できます。
