日本の経済産業省(けいざいさんぎょうしょう)が、古くなった原子力発電所を2040年代までに最大5基(き)建て替えるという目標を発表しました。2011年の東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)による福島原発事故以来、原発の建て替えについて数字の目標が示されたのはこれが初めてのことです。
なぜ今、原発の建て替えを考えているの?
近年、AIやデータセンターが急速に普及したことで、電気の使用量がどんどん増えています。日本のエネルギー政策を考える「総合資源エネルギー調査会(そうごうしげんエネルギーちょうさかい)」では、将来の電力不足に備えるためには新しい発電所が必要だと議論されてきました。そのなかで、温室効果ガス(おんしつこうかガス)を出さずに安定した電力を供給できる原子力発電が改めて注目されています。
2040年代までに最大5基、2050年代には最大14基へ
経産省の計画では、廃炉(はいろ:古い原発を閉めること)を決めた原子力発電所の跡地などに、2040年代までに2〜5基、2050年代までには11〜14基を建て替える目標が掲げられています。新しく建てる原発は「次世代革新炉(じせだいかくしんろ)」とよばれる、より安全性を高めた新型のものになる予定です。発電できる量は最大で550万キロワットで、これは現在ある原発の約2割に相当します。
建て替えには大きな課題が3つある
計画を進めるには、地元の住民や自治体(じちたい:地域の役所)の同意を得ること、原発を作り動かせる技術者を育てること、そして原発から出る「核のゴミ(使用済み核燃料)」の処分先を決めること——という3つの大きな課題があります。これらをどう解決するかが、計画実現のカギとなっています。
なぜ私たちに関係があるの?
電気は私たちの生活に欠かせないものです。どんな方法で電気を作るかは、環境や安全、費用にも大きく関わります。原発の建て替え計画は、皆さんが大人になるころの日本のエネルギーの姿を決める、とても大切な選択です。
もっと知りたい人へ
原子力発電は「ウラン」という物質が核分裂(かくぶんれつ)するときに出るエネルギーで電気を作ります。二酸化炭素をほとんど出さないため、地球温暖化対策(ちきゅうおんだんかたいさく)の観点からも注目されています。一方、事故が起きたときのリスクや放射性廃棄物(ほうしゃせいはいきぶつ)の管理が課題として残ります。受験でも「エネルギーミックス」「再生可能エネルギー」「原子力政策」は頻出テーマです。
今日の一問クイズ
問題:原子力発電で使われる燃料は何ですか? ▶ 答えを見る
答え:ウラン
解説:ウランが核分裂する際に発生する熱でお湯を沸かし、その蒸気でタービンを回して電気を作ります。二酸化炭素をほとんど出さない一方、使用済み燃料の処分が大きな課題です。
