毎日当たり前のように使っている水道水。蛇口をひねれば安全できれいな水が出てくるのは、地面の下に張り巡らされた長い水道管のおかげです。ところが今、その水道管が全国で急速に古くなっていて、大きな問題になっています。
日本の水道管、どれだけ古い?
日本全国の水道管の総延長(ぜんえんちょう)は約74万キロメートル。地球を18周以上する長さです。このうち、法律で定められた「使える年数(耐用年数・たいようねんすう)」の40年を超えた水道管が、全体の約23パーセントにのぼっています。ほぼ4本に1本が寿命を過ぎた状態と考えると、その深刻さがわかります。実際、毎年2万件以上の漏水事故(ろうすいじこ)が起きており、古くなった水道管が突然破裂(はれつ)して道路が陥没(かんぼつ)するトラブルも各地で報告されています。
なぜ一気に直せないの?
問題がわかっていても、簡単には解決できない事情があります。まず、修理にかかるお金が膨大(ぼうだい)で、現在の更新ペースで全部の管を入れ替えるには130年以上かかると試算されています。さらに、人口が減っている地方では水道を使う人が少なくなり、料金収入が下がって修理の予算が足りなくなっています。加えて、工事ができる技術者(ぎじゅつしゃ)の高齢化(こうれいか)も進んでいます。2026年度現在、全国の水道事業体の96パーセントが今後20年以内に料金を値上げせざるを得ないと見込んでいて、平均の値上げ率は48パーセントとも言われています。
私たちの暮らしにどう影響する?
水道管が古くなると、いくつかの困ったことが起きます。まず、漏水(ろうすい)が増えてきれいな水が無駄になります。水圧(すいあつ)が下がってシャワーが弱くなったり、断水(だんすい)が増えたりすることもあります。そして、修理費用が水道料金として私たちの家計に跳ね返ってきます。自治体によってはすでに「2030年代に水道料金を2倍にする」と発表しているところもあります。
なぜ私たちに関係があるの?
水道は電気・ガスと並ぶ「ライフライン(生活に欠かせないインフラ)」のひとつです。地震や災害の時にライフラインが止まると生活が一気に苦しくなります。老朽化(ろうきゅうか)した水道管は地震でも壊れやすく、防災の観点からも早急な対策が必要です。将来の水道料金値上げは、私たちが大人になったときに直接負担することになります。
もっと知りたい人へ
水道管のような生活を支える設備や仕組みをまとめて「インフラ(インフラストラクチャー)」と呼びます。日本では高度経済成長期(1955〜1973年ごろ)に多くのインフラが一気に整備されたため、今まさにその多くが寿命を迎えています。橋・道路・トンネルなども同じ問題を抱えており、「老朽化インフラ問題」は中学・高校の公民や地理でもよく取り上げられる重要テーマです。
今日の一問クイズ
問題:電気・ガス・水道のように、人々の生活や社会を支える基盤(きばん)となる設備や施設をまとめて何と呼ぶでしょうか?カタカナで答えてください。 ▶ 答えを見る
答え:インフラ(インフラストラクチャー)
解説:「インフラ」は「インフラストラクチャー(infrastructure)」の略で、英語で「下にある構造物」を意味します。道路・鉄道・橋・港・学校・病院なども含まれ、社会全体を支える土台となる施設や設備のことを指します。
