2029年に地球のすぐそばを通り過ぎる小惑星「アポフィス(Apophis)」をめぐって、日本の宇宙機関JAXAとヨーロッパの宇宙機関ESAが協力して探査ミッションを行うことになりました。2026年5月8日、両機関は協力協定を正式に結び、力を合わせて宇宙の謎に挑むことを世界に向けて宣言しました。
小惑星アポフィスってどんな星?
「アポフィス」は直径約335メートルの小惑星です。東京タワー(高さ333メートル)とほぼ同じ大きさをイメージすると分かりやすいですね。エジプト神話に登場する「混沌(こんとん)と暗黒の神」にちなんで名付けられました。2004年に発見された当初は地球に衝突するかもしれないと心配されましたが、その後の観測で2029年は安全に通過することが確認されています。
2029年、月よりも近くを通り過ぎる!
アポフィスが地球に最も近づく2029年4月、その距離はなんと約3万2,000キロメートルです。地球と月の距離が約38万キロメートルなので、月までの距離のたった10分の1ほどしか離れていないことになります。これは人工衛星(じんこうえいせい)が飛んでいる高度よりも近く、天気の良い夜には肉眼(にくがん)でも見えるかもしれないという、7500年に一度ともいわれる非常に特別なチャンスです。
JAXAとESAはどんな協力をするの?
ESAは「RAMSES(ラムセス)」という探査機を2028年に打ち上げて、アポフィスが地球に最接近する前にランデブー(宇宙空間での待ち合わせ)を行い、接近観測をする計画です。JAXAはこのRAMSES探査機に搭載する薄型の太陽電池パネルと赤外線センサーを提供するとともに、日本のH3ロケットで打ち上げる役割を担います。また、JAXAの小惑星探査機「DESTINY+(デスティニープラス)」も同じロケットで打ち上げられ、アポフィスのそばを飛びながら観測データを集める予定です。日本とヨーロッパが力を合わせることで、これまでにないくわしいデータが得られることが期待されています。
なぜ私たちに関係があるの?
もし地球に大きな小惑星が衝突すると、広い地域に壊滅的(かいめつてき)な被害が出る可能性があります。アポフィスは今回は地球を通り過ぎるだけですが、探査でそのしくみや軌道(きどう)をくわしく調べることで、将来のリスクをより正確に予測できるようになります。地球を守るための「惑星防衛(わくせいぼうえい)」は、今や世界が協力して取り組む大切なテーマなのです。
もっと知りたい人へ
JAXAはこれまでも小惑星探査機「はやぶさ」シリーズで小惑星「イトカワ」や「リュウグウ」のサンプル採取に成功するなど、世界最先端の惑星探査技術を持っています。宇宙開発の分野では、ESAやNASAなど各国の宇宙機関が「プラネタリーディフェンス(地球防衛)」という共通テーマで協力する動きが活発化しており、受験でもよく問われる「国際協力」の具体例の一つとして覚えておきましょう。関連キーワード:小惑星・JAXA・ESA・惑星防衛・はやぶさ・宇宙探査
今日の一問クイズ
問題:2029年に地球のすぐそばを通り過ぎる小惑星「アポフィス」が最も近づいたとき、地球との距離はどのくらいになるでしょう?次の中から最も正しいものを選びなさい。①地球から月までの距離の約10倍 ②地球から月までの距離の約10分の1 ③地球から月までの距離とほぼ同じ ▶ 答えを見る
答え:② 地球から月までの距離の約10分の1
解説:アポフィスが最接近する距離は約3万2,000キロメートルで、地球と月の平均距離(約38万4,000キロメートル)の10分の1未満です。これは人工衛星よりも地球に近い距離で、肉眼でも見えるかもしれない特別な接近です。
