車の衝突事故のとき、ドライバーを守るエアバッグ(空気でふくらむクッション)という装置を知っていますか?そのエアバッグの技術を服に組み込んで、高齢者が転倒したときに腰や骨盤を守る「ウェアラブルエアバッグ」が注目を集めています。急速に高齢化が進む日本で、転倒による骨折を防ぐ新しい発明が期待されています。
ウェアラブルエアバッグってどんなもの?
「ウェアラブル(wearable)」とは「身に着けられる」という意味の英語です。ウェアラブルエアバッグは、ベルト型やベスト型になっていて、腰回りに装着します。内部には小型のセンサーが入っており、人が転倒を始めたときの動き(急激な重心の移動)を感知すると、約0.1秒(100ミリ秒)というわずかな時間でエアバッグが膨らみ、腰や骨盤・股関節を衝撃から守ります。化学メーカーのダイセルなどが開発を進めており、国内の介護施設などへの導入が始まっています。
なぜ転倒がそんなに問題なの?
日本では今、65歳以上の「高齢者」が人口の約3割を占めており、世界で最も高齢化が進んだ国のひとつです。高齢者が転んで大腿骨(太ももの骨)や骨盤を骨折(こっせつ)すると、手術が必要になるだけでなく、長い間動けなくなってしまうことがあります。動けない期間が続くと筋力が一気に落ち、そのまま介護(かいご)が必要な状態になってしまうケースも少なくありません。転倒は高齢者が「要介護状態」になる原因の大きな一つなのです。
未来の介護をテクノロジーで変える
ウェアラブルエアバッグのほかにも、センサーで体の動きを感知して支える「介護ロボット」や、AIが健康状態を管理する「見守りシステム」など、テクノロジーを活用した介護・医療の新しい仕組みが次々と開発されています。これらは「介護テック」や「ヘルスケア・テクノロジー」とも呼ばれます。人手不足が課題となっている介護の現場でも、こうした技術の活用が大きな助けとなりつつあります。
なぜ私たちに関係があるの?
日本は世界でも有数の「超高齢社会(ちょうこうれいしゃかい)」であり、みなさんのおじいちゃん・おばあちゃん、あるいはご両親が将来お世話になるかもしれない技術です。また、高齢者の骨折を防ぐことは医療費の削減にもつながり、社会全体にとってもメリットがあります。テクノロジーが「人を助ける」ために使われるこうした取り組みは、これからの社会をより良くするヒントにもなっています。
もっと知りたい人へ
日本の高齢化率(65歳以上の人口の割合)は2026年時点で約30パーセントを超え、2050年ごろには約40パーセントに達すると予測されています。「超高齢社会」とは高齢化率が21パーセントを超えた社会のことで、日本は2007年にその状態に突入しました。受験キーワードとしては「少子高齢化」「高齢化率」「介護保険制度」「社会保障費」「生産年齢人口」などが重要です。
今日の一問クイズ
問題:高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)が21パーセントを超えた社会を何といいますか? ▶ 答えを見る
答え:超高齢社会(ちょうこうれいしゃかい)
解説:高齢化率が7パーセントを超えると「高齢化社会」、14パーセント超で「高齢社会」、21パーセント超で「超高齢社会」と呼ばれます。日本は2007年に超高齢社会に突入し、世界で最も高齢化が進んだ国のひとつです。
