スマートフォン、電気自動車、ロボット——これらの製品には「レアアース(希土類)」と呼ばれる希少な金属が欠かせません。その多くを中国から輸入してきた日本が今、深刻な問題に直面しています。中国が輸出を実質的に止めてしまい、日本の工場に大きな打撃が出始めているのです。
レアアースって、どんな金属?
レアアースとは、セリウムやサマリウム、スカンジウムなど17種類の希少な金属の総称です。磁石(じしゃく)や電気自動車のモーター、スマートフォンのスピーカー、医療機器など、私たちの生活を支える多くの製品に使われています。世界の埋蔵量の多くが中国に集中していることから、中国は「希少金属の王様」とも呼ばれるほど、世界市場で大きな影響力を持っています。
なぜ中国は輸出を止めたの?
きっかけは、2025年4月にアメリカのトランプ政権が中国製品に高い関税(かんぜい)をかけたことです。中国はその報復として、日本を含む国々に対しレアアースの輸出規制を打ち出しました。2026年1月には日本向けに正式な規制が発表され、多くのレアアースが通関(つうかん)審査で止められる事態となっています。あるシンクタンクの試算では、1年間輸入が止まれば、日本経済への損失は2.6兆円にのぼると見られています。
日本はどう対応しようとしているの?
日本政府や企業は、オーストラリアやカナダなど他の国からのレアアース調達(ちょうたつ)を急いでいます。また、使用済みの電子機器からレアアースを回収する「都市鉱山」の活用や、レアアースを使わない新素材の研究も進められています。しかし、すぐには代替(だいたい)できないため、自動車や精密機械のメーカーは在庫(ざいこ)を大切に使いながら対策を練っている状況です。
なぜ私たちに関係があるの?
レアアース不足は、電気自動車や家電製品の生産が滞(とどこお)ったり、価格が上がったりする原因になります。日本は輸出大国であり、工業製品の競争力が落ちると、働く人の給料や日本全体の経済にも影響が出てきます。「資源をどこかの国に依存することのリスク」は、これからの社会を考えるうえで大切なテーマです。
もっと知りたい人へ
「経済安全保障」とは、国の経済活動が他国に依存しすぎないように守る政策のことで、日本でも近年とくに重視されています。レアアースのほか、半導体(はんどうたい)や食料も「戦略物資」として注目されています。中国の輸出規制は「経済的威圧(いあつ)」の一例としても、国際政治の場で議論されており、外交や地政学リスクのキーワードとして受験でも頻出です。
今日の一問クイズ
問題:レアアースは日本語で何と呼ばれていますか?また、その多くを産出している国はどこですか? ▶ 答えを見る
答え:希土類(きどるい)。多くを産出しているのは中国。
解説:レアアース(希土類)は17種類の希少金属の総称で、電気自動車や精密機器に不可欠です。世界の生産・埋蔵量の多くを中国が占めており、中国が輸出を制限すると日本の製造業に大きな打撃となります。
