温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を海の地下深くに埋めてしまう技術「CCS(シーシーエス)」の試掘(ためし掘り)が、7月6日から千葉県の九十九里(くじゅうくり)沖で始まりました。エネルギー大手のINPEX(インペックス)が手がけるこのプロジェクトは、工場や発電所から出るCO2を回収して地中に閉じ込め、大気に放出させないことを目指しています。
CCSってどんな技術?
CCSとは「Carbon Capture and Storage(カーボン・キャプチャー・アンド・ストレージ)」の略で、日本語では「CO2回収・貯留(ちょりゅう)」といいます。工場や発電所から出た大量のCO2を特別な装置で集め、パイプラインで海底まで送り、地下1000メートル以上の地層(ちそう)に注入して長い年月にわたって閉じ込める技術です。空気中に出るCO2を減らすことで、地球温暖化を抑えることができます。
九十九里沖でどんな実験が始まった?
今回の試掘は、千葉県の九十九里浜の約5キロメートル沖合で始まりました。CO2を安全に貯めておくのに適した地層があるかどうかを確認するための調査井(ちょうさい)を掘っています。このプロジェクトでは、千葉県君津(きみつ)市にある日本製鉄の工場などからCO2を回収してパイプラインで輸送し、海底の地層に貯留することを計画しています。2030年代初めの本格的な操業(そうぎょう)開始を目指しています。
なぜ地中に埋めるの?
CO2は大気(空気)中にたくさん増えると温室効果(おんしつこうか)で地球の気温が上がり、異常気象(いじょうきしょう)や海面上昇(かいめんじょうしょう)を引き起こします。太陽光や風力など再生可能エネルギーへの転換も大切ですが、製鉄(せいてつ)や化学工業など完全に脱炭素化が難しい産業では、出てしまうCO2を直接回収・貯留するCCSが有効な手段として注目されています。
なぜ私たちに関係があるの?
地球温暖化が進むと、台風の大型化や猛暑(もうしょ)など、私たちの生活に大きな影響が出ます。CCSは工場を動かしながらCO2の排出を減らせる技術として、日本の製造業や電力業界が注目しています。将来のエネルギーと環境の両立を支える技術として、社会全体で取り組みが加速しています。
もっと知りたい人へ
CCSと似た技術に「CCUS(シーシーユーエス)」があり、こちらはCO2を貯留するだけでなく「利用(Utilization)」もする技術です。例えばCO2からプラスチックの原料や燃料を作る研究も進んでいます。また、パリ協定(2015年に採択された気候変動に関する国際的な約束)では、世界の気温上昇を1.5度以内に抑えることを目標としており、CCSはその達成手段として国際的にも重要視されています。「温室効果ガス」「カーボンニュートラル」は中学・高校受験でよく出るキーワードです。
今日の一問クイズ
問題:大気中のCO2(二酸化炭素)が増えると地球の気温が上がる現象を何といいますか?また、その主な原因となるCO2・メタンなどのガスをまとめて何と呼びますか? ▶ 答えを見る
答え:地球温暖化(現象)/温室効果ガス(ガスの総称)
解説:CO2やメタン、フロンなどのガスは、太陽からの熱を地球に閉じ込めてしまう「温室効果」を持ちます。産業革命以降、化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の大量使用でCO2が増え続けており、地球の平均気温が上昇しています。これを「地球温暖化」と呼びます。
